なぜ申告漏れ所得金額ランキングの1位が経営コンサルタントなのか?

なぜ申告漏れ所得金額ランキングの1位が経営コンサルタントなのか?

このランキングは、毎年11月に公表される国税庁「所得税及び消費税調査等の状況」の末尾に「参考計表」として付記されるものになります。

今年は11月22日に令和4年度分が発表されましたが、そのランキングの中に急上昇している業種があります。

その業種は「経営コンサルタント」であり、私もその業種の1人として「なぜ、急に申告漏れ所得金額が増えたのか?」を疑問に思いましたので、考察してみました。

申告漏れ所得金額ランキングとは?

「申告漏れ所得金額ランキング」とは、納税者が税金の申告書を提出する際に、正しい情報を提供せずに所得や利益を意図的に隠したりした場合に、その隠された金額をランキングにして発表するものです。

これは税務署などが調査や監査を行って漏れが分かった際に、その金額をまとめてランキングにしたものです。

申告漏れはいろんな理由で起こります。

誤解やケアレスミスから、意図的に逃れようとする行動まで様々です。

申告漏れ所得金額ランキングとは?

(引用元:Jcastニュース「「申告漏れ所得金額」ランキング 1位「経営コンサルタント」は5年連続トップ10入り」より)

こちらの表が令和4年度から過去5年分の「申告漏れ所得金額ランキング」になります。

過去5年間経営コンサルタントが毎年トップ10に入っているのが分かりますが、直近の2年は連続して1位になっています。

令和4年、令和3年ということは、2022年、2021年になりますのでコロナ禍の生活を送っていた時期になりますので、これが経営コンサルタントが1位になっている原因ではないかと思われます。

インターネット取引を行っている個人に対する調査

令和4年度の国税庁「所得税及び消費税調査等の状況」の資料の中にトピック(主な取り組み)として下記の項目が挙げられています。

  1. 裕福層に対する調査
  2. 海外投資を行っている個人に対する調査
  3. インターネット取引を行っている個人に対する調査
  4. 無申告者に対する調査
  5. 消費税の還付申告者への調査
  6. 所得税の不正還付申告書の課税処理の状況

という6つが主な取り組みとして挙げられています。

この中で経営コンサルタントに関連すると思われる項目が「インターネット取引を行っている個人に対する調査」だと思います。

こちらの記事にもあるようにコロナ禍において「インフルエンサー」と呼ばれる人たちが多額の報酬を得ており、かつそれを申告していなかった事例がありました。

この「インフルエンサー」と呼ばれている人たちの多くは自身がSNSなどを駆使して広告宣伝すると共に、自身のインフルエンサーとしてのノウハウを企業へ販売、代行、指導している方々も多く存在していました。

これらのような「インフルエンサー」などが企業に対してWEBマーケティングの指導を行うことも経営コンサルタントという業種分類に含められた結果が、2年連続で申告漏れ所得金額ランキングの1位になったのではないか?と推測します。

所得は想像以上に税務署に把握されている

私も過去に相続に関する件で税務調査を体験したことがありますが、税務署は親族でも知ることができない情報を得ていることに驚きと恐怖を覚えました。

基本的に銀行は口座情報を10年間は保管することが義務付けられていますが、11年以降の口座情報は記録を残さないことになっており、事実上は11年以上の過去のお金の流れを調べることはできません。

しかし、私が税務調査を体験した際に聞かれたことの多くは11年以上前の話であり、かつ親族が知らないお金の流れをある程度把握していることが税務署員の話から想像できます。

よって、逆に言えば過去10年間のお金の流れを税務署が把握することはとても簡単であり、個人、法人を問わず所得を把握することは私達が考えている以上に容易だと思われます。

仮に今回のような「インフルエンサー」が匿名で活動していたとしても個人を特定することも税務署にとって難しいことではありません。

副業で収入が増えた人もバレないと思っていると忘れた頃に税務署から連絡がきて慌てることになりますので、確定申告は必ず正しく行う必要があります。

下手に税金対策をしたところで個人も法人も結局は税務署のお世話になり、追徴金まで支払うことになり結局は手元に残りませんからね。

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