新商品開発のトレンドはアップサイクル

新商品開発のトレンドはアップサイクル

自社の新商品開発に頭を悩ませる社長は多いと思いますが、新商品を開発するために頭を悩ませるのは時間の無駄とまでは言いませんが、決して効率的な考え方ではありません。なぜなら、売れる新商品のネタは考えるものではなく、お困りごとなどのヒラメキである場合が多いからです。

新商品開発のトレンドはアップサイクル

https://news.goo.ne.jp/article/tvasahinews/nation/tvasahinews-000316245.html

こちらの記事によると縫製メーカーが年間20トンも布の端切れを炭化させることで、鉛筆として商品化することに成功したことが記載されています。

こちらの縫製メーカーは主に学校で使用される体操服の製造を行っている会社のようですが、年間20トンもの端切れを処分していたことにも驚きですが、この端切れが「もったいない」という発想を長年持つ続けていたことが、今回の鉛筆の開発に繋がったと言えると思います。

どうしても、新商品の開発という言葉から想像されるのは、今までに世の中に無かったものを作り出す、ということに思考が向かいがちですが、そんなことができる天才は世界中に数える程しか存在しません。

それほど、難しいことに頭を悩ますぐらいであれば、例えば製造業の場合は今回の端切れのような宝の山が会社や工場の中に転がっていないのか?を考える方が、何かを生み出す可能性は高いと思われます。

実はスティーブ・ジョブズは天才ではない

スティーブ・ジョブズの功績の1つにiPhoneの存在があると思います。

iPhoneはこの世の中に存在しなかったものであり、それを開発したスティーブ・ジョブズは天才である、という認識をお持ちの方が多いと思います。

確かに、スティーブ・ジョブズの功績は素晴らしいものがありますし、私も尊敬する経営者の1人と考えています。

しかし、それはある種の偶然が重なった産物である、ということはあまり知られていないようです。

例えば、iPhoneという商品はミュージックプレイヤーのiPodが原型ですが、iPodに電話機能とインターネット機能を装備させることを考えたのはスティーブ・ジョブズではなくソフトバンクの孫さんです。

ソフトバンクの孫さんはiPodが発売された直後にスティーブ・ジョブズと面会して、iPodに電話の機能とインターネットの機能を装備した商品を開発することを提案し、まだ影も形もないiPhoneが発売された際の日本での独占販売まで提案しています。

それに応える形で形で開発されたのがiPhoneになります。

なぜ、ソフトバンクの孫さんはiPhoneの開発をスティーブ・ジョブズに提案したのか?

それは、日本の携帯電話事業でNTTドコモに勝つための「武器」を探していたからです。

そこにたまたま登場したiPodを見て、スティーブ・ジョブズに提案することになったそうです。

よって、もしソフトバンクの孫さんが、スティーブ・ジョブズに提案していなければ、iPhoneは誕生していなかたのかもしれません。

では、iPodは世の中になかった画期的な商品だったのか?

iPodの元ネタはソニーのウォークマンです。

iPodはカセットテープをハードディスクに置き換えた商品ということができます。

スティーブ・ジョブズは当時先進的なAV機器などを開発するソニーを目標にしていたと言われています。

現にスティーブ・ジョブズが来日した際に当時ソニー製として販売されていたパソコンのVAIOにmacOS版の試作機を持ち込み、製品化することを提案しています。

macOS製のVAIOは実際には商品化されませんでしたが、スティーブ・ジョブズが当時ソニーという会社をどれだけリスペクトしていたのかが、このエピソードでも分かります。

つまり、スティーブ・ジョブズの元ネタはソニーであり、全てをスティーブ・ジョブズが考えた訳ではない、ということです。

スティーブ・ジョブズも0(ゼロ)から1(イチ)を生み出していた訳ではない、ということです。

新商品の開発の多くは、何かと何かの掛け合わせであったり、何かと何かを足したものだったりすることがほとんです。

冒頭の端切れが鉛筆に生まれ変わったのも端切れと炭素化技術の掛け合わせです。

ちなみに、体操服の端切れで作られた鉛筆は一本250円程度で販売される模様です。

通常の鉛筆の2倍程度の価格だと思いますので、ビジネスとしてどれだけ成功するのかは不明ですがこれだけ報道されたことによって、宣伝効果としては十分に元を取ることができたと思います。

また、将来この技術と賛同するアパレルメーカーが増えると、体操服の縫製会社がサスティナブルな鉛筆(アップサイクル)を作る会社として世界でも有名な企業に発展する可能性もあります。

これが現実的な商品開発の方法だと思いますが、どう思われるでしょうか?

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