社長の1on1で社員の成長と事業拡大！必要な準備とは？

2025年3月13日 2025年3月4日

山下午壱

社長が社員と1on1を行う目的は、組織の成長を促し、事業拡大を加速させることにあります。

しかし、1on1が単なる業務報告の場になってしまうと、社員の成長も会社の発展も停滞してしまいます。

では、経営者が成果を生む1on1を実施するためには、どのような準備が必要なのでしょうか？

本記事では、社長が1on1で社員の成長を引き出し、事業拡大につなげるための「3つの準備ステップ」を解説します。

効果的な1on1を実施するための具体的な手法や質問例を紹介し、明日からすぐに実践できる内容にまとめました。

経営者として、社員の主体性を引き出し、組織を成長させたい方は必見です！

この記事のポイント

1on1は社長の重要な経営ツール：社員の成長を促し、事業拡大につなげるために、1on1を戦略的に活用することが重要。
成功する1on1の3つの準備：「成果と課題の整理」「ビジョンの共有」「新しい視点の提供」で、社員の主体性とリーダーシップを育成。
1on1を企業成長の仕組みにする：対象者の選定、データ活用、成功事例の共有で、1on1を組織全体の成長戦略に活かす。

なぜ社長が1on1を実施すべきなのか？

（引用元：株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「1on1ミーティング導入の実態調査」より）

企業の成長には、社員の成長が欠かせません。

そして、社員の成長を促す最も効果的な手段の一つが、経営者による1on1の実施です。

個別の対話を通じて、社長自らが社員の課題や目標を把握し、適切なサポートを提供することで、組織の生産性向上と事業拡大を実現できます。

では、社長が1on1を行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか？

① 社員のエンゲージメント向上

成長機会を提供し、ビジョンを共有することで、社員のモチベーションと会社へのコミットメントが向上します。

社長が直接関与することで、社員は「評価されている」という実感を持ち、離職防止にもつながります。

② 次世代リーダーの育成

1on1を通じて、社員の強みを把握し、リーダー候補を見極めることが可能になります。

経営視点を持たせることで、主体性を持った人材を育成し、組織の安定成長を促進できます。

③ 現場の課題を早期発見

社員との対話から、業務の非効率性や組織の課題を早期に把握できます。

問題が顕在化する前に対策を打つことで、経営リスクを回避し、組織の改善につなげられます。

1on1を実施しないと、社員との距離が広がり、組織の成長が停滞するリスクが高まります。

だからこそ、社長自身が1on1を通じて、社員の成長を促し、事業拡大につなげる戦略的な対話を行うことが重要なのです。

社長の1on1を成功させるための3つの準備ステップ

社長が1on1を戦略的に活用するためには、事前準備が不可欠です。

準備不足のまま1on1を実施すると、単なる業務報告や雑談になりがちで、社員の成長や組織の発展にはつながりません。

1on1を「社員の成長と事業拡大のための場」とするには、以下の3つの準備ステップを実践することが重要です。

(1)「社員の成果と課題」を事前に整理する

社員との1on1を実施する際、事前にその社員の成果や課題を把握しておくことが不可欠です。

社員自身が自分の貢献を適切に説明できるとは限らず、上司に伝わらないまま埋もれてしまうケースも少なくありません。

また、社員の課題が明確になっていないと、1on1が「何に悩んでいるの？」という漠然とした質問から始まり、具体的な解決策が生まれないまま終わってしまうこともあります。

そのため、社長が事前に情報を整理し、適切な質問を準備しておくことで、より具体的なフィードバックが可能となり、社員の成長を加速できます。

この準備がもたらす効果

社員の強みと課題を明確にし、適切な役割を与えられる
「社長が自分を見てくれている」という実感が生まれ、社員のモチベーションが向上する

社長が準備すべきこと

1on1の前に、以下の情報を整理しておくことで、対話の質を向上させることができます。

直近の成果（売上、KPI達成状況、プロジェクトの進捗）
貢献ポイント（他の社員からの評価、リーダーシップの発揮など）
課題や支援が必要な点（現場の悩み、スキルアップの機会など）

これらを踏まえて、社員の成果を適切に引き出し、課題を明確にする質問を準備しておきましょう。

質問例

「今週（または今月）の中で、最も達成感を感じた仕事は？」
「あなたが特に貢献したと感じる成果は？」
「チームやクライアントからポジティブなフィードバックをもらったことは？」
「今の業務の中で、特に難しいと感じていることは？」
「今後の成長のために、どんなスキルを伸ばしたい？」

これらの質問を1on1で活用することで、社員自身が成果を振り返り、成長課題を明確にする機会を提供できます。

(2)「会社のビジョン」と「社員の成長」を結びつける

1on1を単なる業務報告ではなく、社員の成長を促す場にするためには、会社のビジョンと社員の成長目標をリンクさせることが重要です。

社員の視点と社長の視点は異なるため、会社の方向性が伝わっていないと、社員は「やらされ感」を抱き、主体的に行動しなくなります。

会社の成長と社員のキャリアが結びついていると感じられれば、社員は「自分も会社の一員として成長に貢献したい」という意識を持つようになります。

この準備がもたらす効果

社員が経営視点を持ち、指示待ちではなく自発的に動くようになる
組織の成長と個人の成長がリンクし、長期的なエンゲージメントが向上する

社長が準備すべきこと

会社のビジョンや中長期の成長計画を簡潔に整理し、社員と共有できるようにする
社員の成長を会社のビジョンと結びつける質問を用意する

例えば、以下のような質問を投げかけると、社員の意識が高まりやすくなります。

「会社の成長にどう貢献できると思う？」
「今の仕事を通じて、どんなスキルを伸ばしたい？」
「あなたのキャリアの中で、会社をどう活用したい？」

(3)「新しい視点」を提供し、次のステップを明確にする

1on1が単なる業務報告になってしまうと、社員は目の前のタスクに追われるだけで、成長機会を見失ってしまいます。

そこで、社長が経営者の視点を共有し、社員に「次のステップ」を考えさせる仕掛けを用意することが大切です。

例えば、「もし自分が社長だったら？」と考えさせるような質問を投げかけることで、社員の思考が広がり、新たなアイデアや主体的な行動が生まれます。

この準備がもたらす効果

社員の視野が広がり、組織改善や新しい提案が生まれる
リーダーシップが育ち、将来的に経営層を担う人材が増える

社長が準備すべきこと

業界の最新トレンドや競合の動向をリサーチし、社員と共有する
社員に経営視点を持たせる質問を準備し、対話を通じて成長を促す

以下のような質問が効果的です。

「もしあなたが経営者なら、この課題をどう解決する？」
「今後、会社をどう成長させていくべきか？」
「事業拡大のために、新しい取り組みは必要だと思う？」

1on1には上司である社長も準備が必要

1on1を「社員の成長」と「事業拡大」の場にするために、以下の3つの準備を行いましょう。

「社員の成果と課題」を事前に整理する → 適切なフィードバックで成長を加速
「会社のビジョン」と「社員の成長」を結びつける → 社員の主体性を引き出す
「新しい視点」を提供し、次のステップを明確にする → 思考を広げ、リーダーを育てる

これらを実践することで、1on1を単なる進捗確認ではなく、組織の成長を加速させる「経営の武器」に変えることができます。

1on1を企業成長の仕組みにする方法

1on1を社長と社員の対話にとどめず、企業の成長を促す仕組みとして活用することが重要です。

適切な対象者を選定し、データを蓄積し、組織全体での運用へ展開することで、人材育成と経営戦略の精度を向上させることができます。

(1) 1on1を実施する社員の選定

社長がすべての社員と1on1を行うのは難しいため、実施すべき社員を厳選する必要があります。

特に以下の社員との1on1が、企業成長に直結します。

リーダー候補（次世代の経営層を育成）
新規事業担当者（戦略の方向性を共有し、成功率を高める）
業績貢献度の高い社員（さらなる成長を促し、離職を防ぐ）

適切な社員と定期的に対話することで、組織の成長を加速させるリーダー人材を確保できます。

(2) 1on1の記録をデータ化し、経営戦略に活かす

1on1の内容を蓄積し、人材育成や組織改善の判断材料とすることが重要です。

例えば、以下の情報をデータ化すると、戦略的な経営判断が可能になります。

社員ごとの成長記録（スキルアップ・業績・課題）
組織全体の課題と強み（共通の問題点や成長機会）

これにより、適材適所の人材配置や評価制度の最適化にも活用できます。

(3) 1on1の成功事例を社内で共有し、組織全体に展開する

1on1の効果を最大化するには、成功事例を社内で共有し、組織全体で実践することが必要です。

例えば、

経営幹部や管理職にも1on1を導入し、組織全体の成長を促す
優れた1on1の事例を定期的に共有し、ノウハウを標準化

これにより、1on1を単なる社長の取り組みではなく、企業の文化として根付かせることが可能になります。

1on1を企業成長のツールとして活用

1on1を企業成長の仕組みにするために、以下の3つのポイントを実践しましょう。

実施する社員の選定 → リーダー候補や新規事業担当者など、組織の成長に直結する社員を対象に
記録をデータ化し、経営戦略に活かす → 人材育成や評価制度に反映
成功事例を社内で共有し、組織全体で活用 → 企業文化として定着させる

これらを実践することで、1on1が社長と社員の個別の対話ではなく、企業の成長を加速させる経営ツールとなります。

まとめ：1on1を「成長の仕組み」に変えるために

社長が1on1を行う目的は、社員の成長を促し、それを事業の成長につなげることです。

しかし、単なる業務報告や雑談で終わってしまうと、本来の効果を発揮できません。

1on1を企業の成長戦略として活用するためには、以下の3つのステップを実践することが重要です。

「社員の成果と課題」を事前に整理する → 適切なフィードバックで成長を加速
「会社のビジョン」と「社員の成長」を結びつける → 社員の主体性を引き出す
「新しい視点」を提供し、次のステップを明確にする → リーダーシップを育成

1on1の質を高めることで、社員が自発的に成長し、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

まずは次回の1on1で、この3つのうち1つの手法から試してみましょう。

投稿者プロフィール

山下午壱エグゼクティブコーチ/経営コンサルタント: 1968年生まれ。兵庫県出身。
玩具業界（商社）、映画業界を経て人材サービス業界で20年働く。
代表取締役として年商10億円台の人材サービス会社を70億円台まで成長させる。
経営の傍らで多くの経営者と交流し、中小企業の社長の立場でコーチング、コンサルティング実績を積む。
現在はエグゼクティブコーチ/経営コンサルタントとして活動中。