学生が面接官を評価する意味はあるのか?
住友商事が採用面接において学生による面接官評価制度を導入したことは、採用プロセスにおける新たなアプローチである。
この取り組みは、採用の透明性と公平性を高める一方、評価の客観性や有効性についての考える必要があると思われます。
学生が面接官を評価するデメリット
客観性の欠如
学生の主観性が評価に影響を与える可能性があります。
個々の学生の感情や個人的な経験に基づいた評価は客観性を欠き、面接官の能力や資質を適切に評価することを難しくします。
さらに、学生が面接官に対する前提や期待(先入観)に基づいて評価を行うこともあり、これが正確な評価を阻害する要因となります。
非客観的な評価が採用プロセスに悪影響を及ぼし、適格な候補者の選択を妨げる恐れがあります。
社会経験不足による問題
学生の社会経験の不足が評価に偏りをもたらすリスクが存在します。
多くの学生はまだ社会での経験が浅く、ビジネス環境や職場の文化に関する理解が不十分です。
そのため、学生の評価は自身の経験や知識に基づいており、現実的な視点からの評価が欠けている可能性があります。
さらに、経験不足により、学生が適切な基準で面接官を評価することが難しくなるため、面接官評価の信頼性が低下します。
学生が面接官を評価する方法の問題点
面接内容への影響
学生が面接官を評価することで、360度評価の問題点と同様の問題が発生する可能性があります。
学生の評価に過度な配慮をしたり、評価に基づいて面接の方針や質問内容を変更することで、面接の本来の目的や探求する情報から逸脱する可能性があります。
これにより、面接の質が低下し、採用担当者が必要とする情報や評価基準が正しく把握されない恐れがあります。
さらに、面接官の自主性や独創性が制限され、標準化された質問や対応に偏ってしまう可能性もあります。
結果として、適切な評価が行われない恐れがあり、採用プロセス全体の信頼性や公正性が損なわれる可能性があります。
採用プロセスの効率性の低下
学生からの評価に過敏になることで採用プロセスの効率を損なう可能性があります。
面接官が学生の評価を重視しすぎると、面接の主な目的である候補者の適性や能力の評価が後回しにされるおそれがあります。
このような学生からの評価に過敏になることが採用プロセスのスムーズな進行を妨げ、時間やリソースの無駄遣いにつながる可能性があります。
さらに、採用の基準が曖昧になり、適切な候補者の見落としが生じる可能性があります。
面接官が学生の評価に一喜一憂し、採用の基準が不透明になることで、適切な判断ができなくなるリスクがあります。
採用プロセスの見直しが必要
これらの問題点は、採用プロセス全体の公平性や効率性に影響を与える可能性があります。
採用プロセスにおける評価方法や基準の明確化、面接官の適切なトレーニングやガイドラインの提供など、改善策が必要です。
また、学生が面接官を評価する方法についても、客観性と公平性を重視したアプローチが求められます。
学生が面接官を評価する意味はあるのか?
学生が面接官を評価する制度が及ぼす影響
学生が面接官を評価する方法の導入には、慎重な検討が必要です。
学生の主観性や経験不足が評価に影響を与える可能性があり、これに対処するためには適切な対策が必要です。
また、採用プロセスにおける効率性と質のバランスを考慮した評価手法の模索が求められます。
学生の意見を聞ことは大切だが、面接官を評価してはいけない
学生が面接官の対応に対して、どのような印象を得たのか?を調べることはとても重要です。
人材が採用できない会社によくある3つの悪い面接
私は過去の経験として数年間ではありますが、新卒採用を管理職の立場で経験させていただきました。 正社員採用における大学生(文系と理系)、専門学校生、高校生とほぼ全…
こちらの記事で挙げている例は極端な事例ですが、面接官への印象はそのまま会社の印象になってしまいます。
上記の記事にも書きましたが、
新卒にかかわらず求職者の多くは将来の重要な顧客予備軍なので、貴重な顧客との接点を無駄にしてはいけない
という観点から考えると、逆に面接官の印象を調べることは必須かもしれません。
しかし、それを社内で評価しそれぞれの面接官にフィードバックすることは、前述の通りの問題点を引き起こすことになります。
よって、面接官の印象を調査し面接官全体のレベルの底上げとして、面接官のトレーニングに活かす程度に留めることで、学生が面接官への評価(印象を調べる)ことに意義があり、住友商事が考える結論に達することになると考えます。
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