Author profile
山下午壱
1968年生まれ。兵庫県出身。 玩具業界(商社)、映画業界を経て人材サービス業界で20年働く。 代表取締役として年商10億円台の人材サービス会社を70億円台まで成長させる。 現在はエグゼクティブコーチ/経営コンサルタントとして活動中。
経営者の成長スピードを変える「たった一つの言葉」とは?

私はこれまで、中小・ベンチャー企業の社長と壁打ちを重ねる中で、「勉強熱心なのに伸び悩む人」と「学びをすぐ成果に変える人」の差を何度も見てきました。

もちろん努力は大切です。ですが現場で強く感じるのは、成長スピードを分けるのは努力量もさることながら、学びを取り込む“質問の仕方”だということです。

忙しい社長ほど、聞き方がズレると時間もお金も投資しているのに手応えが出ません。

逆に、聞き方が整うだけで同じ学びが一気に武器になります。

そして、その分岐点になりやすいのが、質問の中に入る「たった一つの言葉」です。

この記事ではその言葉を軸に、明日から使える質問の組み立て方を整理します。

この記事のポイント

  • ✅成長差は質問で決まる
    ✅NGワードは「意見を聞かせて」
    ✅「たった1つの言葉」はアドバイス

 

第1章:経営者の成長スピードは「努力量」だけでは決まらない

努力の量より「学びの変換率」が差をつくる

経営者は忙しいです。それでも本を読み、セミナーに出て、顧問や仲間に相談し、毎日考え続けています。

にもかかわらず、同じように努力しているのに、半年後の差が大きく開くことがあります。

私が現場で感じるのは、差を生むのは「学ぶ時間」より「学びの変換率」だということです。

集めた情報を“次の行動”に落とし込めるかどうか、と言い換えてもいいでしょう。

「意見を聞かせて」と言うと、答えが薄くなることがある

相談の場で社長が従業員に対して「意見を聞かせて」と言うと、相手は無意識に角が立たない表現を選び、「特に問題はありません」「順調だと思います」といった無難な言葉で終わりがちです。

これは能力の問題ではなく、上下関係の中で安全な答えを選んでいる結果です。

私も以前は、こうした受け答えを丁寧さや配慮だと受け取っていました。

しかし実際には、次の一手が見えないまま時間だけが過ぎ、同じ課題が繰り返される場面を何度も見てきました。

原因は社長の能力不足ではなく、「意見を聞かせて」という質問が、改善案ではなく評価や所感を引き出してしまう点にあると感じています。

一方で、伸びる経営者は努力を増やす前に聞き方を整えます。

私自身も、質問を少し変えただけで返ってくる情報が具体的になり、意思決定が速くなる瞬間を体験してきました。

まずは努力量ではなく、学びの質を上げるところから始めるべきです。

第2章:多くの経営者が無意識に使っているNGワード

「ちゃんと聞いているつもり」が成長を止める

成長が停滞している経営者ほど、「自分は人の話を聞いている」と感じています。

部下や周囲に意見を求め、場を設け、対話の時間も取っているからです。

私が支援してきた中でも、「聞く姿勢」に問題があると自覚している社長はほとんどいません。

それでも結果が変わらないのは、聞き方が無意識に「安心を得るための質問」になっているからだと感じています。

「意見を聞かせて」という言葉は、相手の反応を和らげ、場の空気を壊さない一方で、自分自身も大きな否定を受けずに済みます。

つまり、質問でありながら、実は自分を守る役割も果たしているのです。

経営者は常に意思決定を迫られ、孤独になりがちです。

そのため無意識のうちに、「否定されない答え」を引き出す聞き方を選んでしまいます。

しかしこの習慣が続くと、厳しい視点や具体的な改善案が入らなくなり、成長スピードが落ちていきます。

NGワードの正体は言葉そのものではなく、経営者の思考の癖だと、私は考えています。

第3章:成長スピードを変える「たった一つの言葉」の正体

ポイントは「意見」ではなく「アドバイス」を求めること

成長スピードが速い経営者が共通して使っているのが、「意見」ではなく「アドバイス」を求める聞き方です。

「どう思う?」や「意見を聞かせて」ではなく、「もっと良くするなら、何を変えるべきだと思う?」と聞きます。

この違いは小さく見えますが、返ってくる情報の質は大きく変わります。

意見は評価や所感に留まりやすい一方、アドバイスは改善を前提とした具体策を引き出しやすいからです。

私自身、この聞き方を意識するようになってから、打ち合わせで得られる情報量が明らかに増えました。

実際に、フィードバックよりもアドバイスを求めたほうが、具体的で行動につながる情報が集まりやすいことは、ハーバード・ビジネス・スクールの研究でも示されています。

意見や所感ではなく、次の一手を前提にした質問が、学習効率を高めるのです。

アドバイスを求めると、思考が「過去」から「次の一手」に切り替わる

アドバイスを求められた相手は、「良かったかどうか」を振り返るのではなく、「次に何をすべきか」を考え始めます。

視点が過去から未来に切り替わるため、「ここをこう変えたほうがいい」「次はこの順番が良い」といった具体的な話が出てきます。

私も質問をこの形に変えただけで、意思決定が速くなり、迷いが減る感覚を何度も経験してきました。

努力量を増やす前に、まず言葉を一つ変える。

この小さな違いが、経営者の成長スピードを大きく左右すると私は感じています。

第4章:質問が変わると、経営判断がこう変わる

集まる情報の質が変わると、判断の迷いが減る

質問を「意見」から「アドバイス」に変えると、まず変わるのが集まる情報の質です。

評価や所感ではなく、「何を変えるべきか」「どこに無駄があるか」といった具体的な材料が揃うため、判断の前提が明確になります。

経営判断で迷いが生じる原因の多くは、情報不足ではなく、使えない情報が多すぎることだと私は感じています。

意思決定のスピードは、質問の段階でほぼ決まっている

私自身、アドバイスを前提に質問するようになってから、判断にかかる時間が明らかに短くなりました。

理由は単純で、選択肢が整理された状態で話を聞けるからです。

質問の時点で「次の一手」に焦点を当てておけば、会議や打ち合わせが終わった瞬間に、やるべきことが決まります。

経営者にとって最も高いコストは、決められずに立ち止まる時間です。

その時間を減らすためにも、質問の設計を見直す価値は大きいと感じています。

第5章:経営者が今日からできる「質問の変え方」

「どう思う?」を「どう変える?」に置き換える

質問を変えると言っても、難しいことをする必要はありません。

まずは「どう思う?」「意見を聞かせて」という聞き方を、「もっと良くするなら、何を変えるべきだと思う?」に置き換えるだけで十分です。

ポイントは、評価ではなく行動を前提にすることです。

一度に完璧を求めず、言葉を一つだけ意識する

私も最初からうまくできたわけではありません。

大切なのは、すべてを変えようとせず、「今日はアドバイスを求める」と一つだけ意識することです。

その積み重ねが、学びの質を高め、成長スピードを確実に引き上げます。

経営者の成長は、大きな努力よりも、小さな言葉の選び方から始まると、私は考えています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 「意見を聞かせて」と聞くのは、なぜ良くないのですか?

「意見を聞かせて」という聞き方は、評価や所感を引き出しやすく、具体的な改善案につながりにくいからです。結果として次の行動が決まらず、同じ課題を繰り返しやすくなります。

Q2. アドバイスを求めると、部下との関係が悪くなりませんか?

アドバイスは評価ではなく協力を前提とした質問です。責める意図がなければ、むしろ対話の質が上がり、建設的な関係を築きやすくなります。

Q3. 社長がアドバイスを求めても、本音は出てくるのでしょうか?

「どう変えるべきか」「次に何をするべきか」と未来に焦点を当てることで、相手も安心して具体的な提案を出しやすくなります。

Q4. 会議や1on1以外でも使える考え方ですか?

はい。日常の雑談や進捗確認の場面でも使えます。質問の前提を変えるだけで、得られる情報の質は大きく変わります。

Q5. すぐに実践するなら、何から始めれば良いですか?

まずは「どう思う?」を「もっと良くするなら、何を変える?」に言い換えてみてください。それだけで十分な変化が起こります。

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