なぜ節税のために保険に加入するのか?
2019年の「バレンタイン・ショック」以前、大量に販売されていた法人向け節税保険が、まもなく解約返戻金のピークを迎えます。
これは、企業が税制優遇を受けるために保険に加入し、将来の解約返戻金を役員の退職金や節税対策に充てるという戦略です。
しかし、保険に加入することで得られる節税と事業の成長との関連性について考える必要があります。
バレンタイン・ショックからの変化
「バレンタインショック」と呼ばれるこの税制改正の内容は、法人向けの定期保険、ならびに第三分野の保険(医療保険・がん保険)の保険料の取り扱いを変更されるというものです。
法人保険の保険料取り扱いが変わるということは、経営者の多くが行っていた「保険料を損金計上して節税する」という手法に影響を与えることを意味するためです。
(引用元:「法人保険比較.NET「【2019年国税庁の税制改正通達】法人保険の損金取扱いに関する変更点とは」より)
法人向け節税保険が一世を風靡した2019年の「バレンタイン・ショック」以前は、多くの企業がこの保険に加入しました。
しかし、2020年のコロナ禍により、経営環境が大きく変わりました。
多くの社長が計画していた節税戦略が実現困難となり、解約返戻金のピークにあわせた退任などが難しくなっています。
節税のための保険は利益の繰り延べ
節税のために法人向け節税保険に加入することは、事実上、利益の繰り延べと捉えるべきです。
保険料の支払いと引き換えに将来の返戻金を得ることで、一時的な税制優遇を享受することが可能です。
しかし、これは節税ではなく、将来的に税金を支払うことになります。
企業はこの点を理解し、将来の負担を見越して節税保険に加入する必要があります。
確かに一時的に利益が多く出た年であれば、その年度の利益を圧縮することで法人税を減らす効果があります。
しかし、実際には数年後に迎える解約返戻金の年度には利益として計上されることになりますので、これが節税ではなく利益の繰り延べであるという意味です。
解約返戻金の使い道が決まっている(役員退職金など)であれば、解約返戻金は利益にならず節税としての意味がある場合もありますが、多くの場合は解約返戻金の時期にまた別の節税対策を考えることになります。
無駄に保険に入るよりも事業成長への投資が重要
一方で、節税保険に加入することが事業の成長にどれだけ寄与するかは疑問です。
例えば、予定していた事業承継や退任が実現しない場合、解約返戻金を利用する余地がなくなり課税の対象になる利益が大きく発生することになります。
節税保険に依存せず、むしろ事業の拡大や新規投資に資金を回す方が、将来的な企業の安定性を高める手段となります。
本来会社とは投資を行い事業を継続的に成長させることが目的です。
そのためには、利益を出し投資を行えるような資金を用意する、内部留保を厚くする必要があります。
しかし、保険に加入することは会社の本来の目的である事業を継続的に成長させるための機会を奪うことになり、会社の経営としては、「無駄な経費」ということが言えるとと考えます。
節税のための保険は検討の余地あり
節税のために保険に加入することは、特定の状況で一時的な節税効果ををもたらす手段ではあります。
しかし、それが事業の本質的な成長に繋がるかどうかは疑問が残ります。
無駄な保険に資金を回すよりも、将来的な成長や事業展開に投資する方が、企業にとってはより有益であると言えるでしょう。
節税保険の利用は検討の余地はありますが、企業の戦略に組み込む際には将来の変化や事業の特性を考慮することが重要です。
確かに法人税を支払うことは一時的には損をする気持ちになる社長の気持ちはよく分かります。
しかし、長期的なスパンで物事を考える経営者思考を身に付けている社長は、目先の節税よりもその先の事業の成長のために何をするべきか?を考えることができる人だと考えます。
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