トラック運転手の人材不足解消はどうすれば良いのか?

トラック運転手の人材不足解消はどうすれば良いのか?

働き方改革の影響で日本の経済に大きく影響を与える恐れがあるものの1つとして、物流におけるトラック運転手の人手不足が考えられます。

これまで人手不足を労働時間でカバーすることで日本の物流を支えてきましたが、働き方改革によって労働時間が減ることからこれまでのような物流環境を維持することが難しいと言われています。

トラックによる物流を減らす

トラック運転手が不足、労働時間の短縮により1日あたりの運搬量が減るのであれば、その減った分の物量をトラック以外で運搬することができれば、これまで通りに日本の物流を維持することができます。

この場合の代替手段は鉄道やフェリーになると思いますが、トラックによる物流がこれだけ日本で発展した理由の1つは早く荷物を届けることができることが理由です。

日本全国に張り巡らせた高速道路を駆使して24時間荷物を運搬することができること、またドアツードア(door-to-door)で荷物を運ぶことができるのもトラック運送の強みになります。

つまり、トラックによる物流網を構築できたことでほぼ日本全国翌日配達を可能にすることができた訳であり、このスピード感が日本の経済を支援してきたとも言えます。

しかし、これを一部鉄道やフェリーに置き換えることでこれまでのようなスピード感をもった物流網を維持することは難しくなることが予想されます。

また、コストに関してもトラックによる運送よりもアップすることが確実であり、運賃にも影響することになります。

この場合の対策としては、早く届けたい荷物と急がない荷物に対して価格差を付けることで1日あたりの物量をコントロールすることができれば、全てをトラックで運ぶ必要もなくなり、かつ鉄道やフェリーなどのコストに関しても一度に運ぶ量を増やすことでコストダウン(従来のトラックによる輸送と同等程度)にすることが可能になるのではないでしょうか?

現にAmazonでは、プライム会員から会費を徴収することで荷物を早く届けるサービスを提供していますが、既に荷物が早く届くことに対して対価を払うことを日本人は抵抗なく行っていることを考えると、早く届けたい荷物と急がない荷物に対して価格差を付けることはあまり問題にはならないと考えます。

トラックにおける自動運転化

現在乗用車における自動運転に向けた開発が進められています。

技術的にはアメリカ等でテスラ社の車が自動運転にて高速道路などを走行していることから、高速道路内におけるトラックの自動運転にはあまり技術的な問題点はありません。

では、なぜトラック運転手の人材不足感が高まる中でトラックにおける自動運転化が進まないのか?

これは完全に法律の問題、つまり規制の壁がトラックのみならず日本国内での自動運転の発展を阻害しています。

当然国は安全の問題を理由に規制を緩めることを推進していませんが、近年では徐々にではありますが、自動運転の規制を緩める方向性にあります。

仮に、トラックによる高速道路のみの自動運転化が認可されたとして、次に発生する問題は新型トラックの購入資金の確保と生産台数不足になります。

日本の多くの物流会社は中小企業が多く、規模的にも大きくない会社が多いことからⅠ台あたり数千万円もするトラックを一気に入れ替える余裕がありませんので、国としての何かの支援が必要になります。

また、国産トラックメーカーの生産台数にも限りがあることから、購入資金を確保することが出来たとしても納車されるまでにかなりの期間を要することになると思われます。

長期的な視点でみれば、トラックにおける高速道路での自動運転化は現状の物流網を大きく変えること無く運用することが可能と思われますので合理的な選択肢だと考えられますが、規制の問題、トラック購入資金の問題、トラックの生産量の問題など早期の実現は難しいと考えられます。

外国人トラックドライバーの採用

長期的な視点では、トラックにおける高速道路での自動運転化を目指すとして、その実現までの期間をどのように対応するのか?

おそらく賃金や待遇面を向上させたとしても日本人が積極的にトラック運転手へ就職するとは考えづらいと思われます。

よって、日本人ではなく外国人に短期的(と言っても10年以上だと思いますが)にトラック運転手として働いてもらうことを検討するべきだと考えます。

ただし、トラック運転手を外国人として採用するにはまたもや規制の壁を突破する必要があります。

詳細は紙面の関係で省きますが、現在政府は特定技能の枠を利用して外国人をトラック運転手として働く道筋を検討しています。

ただし、この場合は評価試験と日本語能力試験に合格することが要件になると思われます。

運転手が足りない!:外国人在留資格の特定技能職種に「運転手」追加へ 人手不足解消につながるか 鈴木智也 | 週刊エコノミスト Online

 運転手の人手不足は深刻化し、他の職種のように外国人の受け入れが必要となるかもしれない。国土交通省は検討に入った。 >>特集「運転手が足りない!」はこちら  主…

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しかし、この特定技能におけるトラック運転手が可能になるのがいつ頃になるのか?に関しては時期は未定です。

このような国の規制緩和を待つこと無く外国人をトラック運転手として採用する方法があります。

それは日系ブラジル人、日系フィリピン人などの日系人を採用することでトラック運転手として合法的に就業してもらうことが可能になります。

日系ブラジル人だけでも2021年の調査で日本に20万人以上居住しており、彼らの多くは工場での労働者として家族ともども日本に長く住みながら働いています。

よって、日本語も堪能であり多くの日系ブラジル人は日本での自動運転免許証も所持していると思われます。

大型免許などの取得は必要になりますが、それは日本人も同じ条件ですので問題はありません。

当面のトラック運転手の不足を補うために日系ブラジル人や日系フィリピン人などの採用を検討されるのが、当面のトラック運転手の人材不足解消に役立つと考えます。

【引用・参照元】

〈物流クライシス〉(中)日本型サービスに転機 - 日本経済新聞

「販売の半分が関東向けなのに……」。福岡県筑後市でブランドいちご「あまおう」を生産する下川大輔さんは頭を抱える。農産物3割滞る2024年4月からトラック運転手に残業規…

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投稿者プロフィール

山下午壱
山下午壱エグゼクティブコーチ/経営コンサルタント
1968年生まれ。兵庫県出身。
玩具業界(商社)、映画業界を経て人材サービス業界で20年働く。
中堅規模の人材サービス会社の経営の傍らで多くの経営者と交流し、中小企業の社長の立場でコーチング、コンサルティング実績を積む。現在はエグゼクティブコーチ+経営コンサルタントを組み合わせた独自の手法で活動中。