なぜ営業マンは値引きするのか?値上げしても売れる営業とは?

なぜ営業マンは値引きするのか?値上げしても売れる営業とは?

「なぜ営業マンはすぐ値引きするのか?」

これは多くの経営者が抱える悩みです。

営業マンが簡単に値引きをしてしまうと、売上は増えても利益率が低下し、企業経営を圧迫します。

では、なぜ営業マンは値引きに頼るのでしょうか?

その理由の一つに、営業マンが財務データを理解していないことが挙げられます。

利益率や原価を正しく把握できていなければ、適正価格を維持する意識が生まれにくく、値引きのリスクを理解できません。

本記事では、営業マンが財務の知識を身につけることで値引きを防ぎ、価格交渉力を向上させる方法 を解説します。

経営者が実践できる具体的な施策を紹介するので、自社の営業戦略を見直すヒントにしてください。

この記事のポイント
  1. 営業マンが値引きする理由:財務データを理解していないため、売上を優先し、安易に値引きを選んでしまう。
  2. 財務を学べば値引きを減らせる:利益率や値引きの影響を理解することで、適正価格で販売できる営業に成長できる。
  3. 経営者が今すぐできる対策:財務データの可視化、営業評価の見直し、価値提案スキルの強化を実施する。

 

営業マンが値引きをしてしまう本当の理由

営業マンが値引きをしてしまう理由には、心理的要因・財務知識の不足・組織の評価制度 の3つが大きく関係しています。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

営業マンが値引きに頼る心理的要因

①「値引きすれば売れる」という思い込み

営業マンの多くは「価格が安ければ売れる」と考えています。

特に競争が激しい業界では、「他社より安くしないと売れない」 という焦りから、安易に値引きを選びます。

しかし、価格だけでなく、サービスやブランドの信頼性も購買の決め手 となります。

② 価格交渉への苦手意識

営業マンの中には、「価格交渉=顧客に嫌われるもの」と考え、交渉を避けようとする人がいます。

そのため、顧客に「高い」と言われると、強く主張できず、値引きに逃げる ことが多くなります。

特に交渉のトレーニングを受けていない場合、この傾向が強くなります。

③ 顧客に「高い」と言われると反論できない

価格の根拠を説明できなければ、顧客から値引きを要求された際に対応できません。

「なぜこの価格なのか?」と問われたときに説得力を持たせるためには、価格設定の根拠や付加価値を論理的に伝えるスキルが必要 です。

営業マンが財務の知識を持たないために起こる問題

① 「値引きしても売上が増えれば大丈夫」と誤解

営業マンは「値引きをしても売上が増えれば問題ない」と考えがちですが、これは大きな誤解です。

例えば、1つ10,000円の商品を30%の利益率(3,000円の利益)で販売している場合、10%値引きして9,000円で売ると、利益は2,000円に減ります。

この場合、同じ利益を確保するには1.5倍(50%増)の販売数が必要 ですが、それは簡単ではありません。

② 値引きが利益率や財務状況に与える影響を理解していない

営業マンが財務データを知らなければ、値引きが会社の利益を圧迫することに気づけません。

例えば、売上1,000万円、利益率30%の会社が10%値引きすると、利益率は大幅に低下します。

財務データを可視化し、「値引きをするとどれだけ利益が減るのか」を営業マンに理解させることが重要です。

③ 「利益率・粗利」を把握しておらず、適正価格がわからない

営業マンが原価や粗利益を知らなければ、適正な価格を設定できません。

例えば、原価が5,000円の商品を10,000円で売る場合、利益率は50%ですが、9,000円で売れば利益率は44%に低下します。

このような影響を理解していないと、無意識に値引きを繰り返してしまいます。

組織が値引きを助長してしまうケース

① 売上だけを評価し、利益率を考慮していない

多くの企業では、営業の評価基準が「売上金額」になっています。

そのため、営業マンは利益率を意識せず、「とにかく契約を取る」ことを優先しがちです。

例えば、「毎月1,000万円の売上を達成しなければならない」という目標があると、値引きをしてでも売上を確保しようとします。

もし評価基準に「利益率」や「値引き率」が含まれていれば、営業マンの行動も変わるはずです。

② 値引きしてでも売上を上げた方が評価される文化

営業部門では、「値引きしてでも契約を取った営業マンが評価される」文化が根付いていることが多いです。

しかし、値引きが増えれば利益率が低下し、長期的には会社の経営を圧迫します。

このような文化を変えるには、「売上額」ではなく「利益率」や「粗利貢献度」を評価する仕組みを導入すること が必要です。

まとめ:財務データの理解と評価基準の見直し

営業マンが値引きをする理由は、「心理的要因」「財務の知識不足」「組織の評価制度」 の3つが大きく関係しています。

  • 営業マンは「値引きすれば売れる」と思い込み、価格交渉が苦手
  • 財務データを知らず、値引きのリスクを理解していない
  • 売上だけを評価する文化では、利益率を考慮せず契約を優先してしまう

これらの問題を解決するには、営業マンに財務データを理解させ、評価基準を見直すことが重要です。

営業マンが財務データを理解すれば、値上げしても売れる

営業マンが財務を学ぶことで、値引きの影響を数字で理解し、価格交渉力が向上します。

ここでは、財務データの可視化が営業マンの行動をどう変えるのか、そして営業マンに財務を理解させるための具体的な取り組み を解説します。

営業マンが財務を学ぶと何が変わるのか?

① 値引きがどれだけ利益を削るのかを「数字」で理解できる

財務を学んだ営業マンは、「値引きが利益を大幅に減らす」 ことを実感できます。

例えば、10,000円の商品を30%の利益率で販売している場合、10%の値引きで9,000円になると、利益は3,000円→2,000円に減少。

同じ利益を確保するには50%多く売らなければならない という事実を理解できます。

② 利益率を考慮し、適正価格で売る意識が身につく

営業マンは財務を学ぶことで、価格設定の重要性を認識します。

値引きをすると、利益率が低下し、会社の経営を圧迫することが分かるため、価格を維持しながら販売する意識 が強まります。

これにより、不要な値引きを防ぎ、利益を確保する営業スタイルへと変わります。

③ 価格交渉時に「なぜこの価格なのか?」を論理的に説明できる

財務データを理解すると、価格の根拠を明確に説明できるようになります。

「なぜこの価格なのか?」という顧客の質問に対し、原価・利益率・市場価格などのデータを基に論理的に説明できるようになり、値引きなしでも納得を得られる営業が可能になります。

財務データの可視化が営業の行動を変える

① 営業向けに「売上 vs. 利益率」のデータを共有

営業マンは売上の数字だけを意識しがちですが、利益率のデータを共有することで意識が変わります。

例えば、「売上1,000万円でも利益率が20%なら利益は200万円、利益率30%なら300万円になる」と示すことで、値引きの影響を明確に理解できます。

② 値引きによる利益減少のシミュレーションを見せる

「値引きをすると利益がどれだけ減るのか」をシミュレーションで見せると、営業マンの意識が変わります。

例えば、5%の値引きで年間○○万円の利益が失われると具体的に示すことで、営業マンが値引きを避ける動機付け になります。

③ 利益率向上の成功事例を社内で共有

財務データを活用して利益率を向上させた営業マンの事例を社内で共有すると、他の営業マンにも良い影響を与えます。

「価格交渉を工夫し、値引きせずに成約した」という事例を共有することで、営業組織全体の価格交渉力が向上します。

営業マンが財務を理解するための具体的な取り組み

① 財務データの社内勉強会を実施

営業マンに財務の知識を持たせるため、社内で財務勉強会を実施することが有効です。

「決算書の基本」「利益率の計算方法」「値引きの影響」などを学ぶ機会を作ると、営業マンの意識が変わります。

特に、営業向けにカスタマイズした基本的な財務教育 (PR)を行うことで、実践に活かしやすくなります。

② 「値引きの影響シミュレーション」を営業に見せる

営業マンに「値引きによる利益の変化」をシミュレーションで見せることで、値引きのリスクを視覚的に理解させます。

例えば、「5%値引きで年間○○万円の利益が消える」といった具体的な数字を示すことで、値引きを避ける意識を強めます。

③ 営業の評価基準を「売上」から「利益貢献」に変える

営業マンの評価基準を「売上」だけではなく、「利益率」や「値引き率」を考慮する形に変更すると、行動が変わります。

「値引きを抑えつつ利益を確保した営業マンを評価する」仕組みを作ることで、より適正な価格での販売が促進されます。

まとめ:財務知識のある営業マンは値引きしない

営業マンが財務データを理解すると、値引きを防ぎ、適正価格で販売する意識が身につきます。

財務データの可視化や勉強会の実施、評価制度の見直しなどを行うことで、組織全体の利益率を向上させることができます。

経営者が今すぐできる「値引きを防ぐ施策」

営業マンが安易に値引きをしないためには、財務の理解を深め、価格交渉力を強化する環境を整えることが重要 です。

ここでは、経営者がすぐに実践できる施策を紹介します。

「営業マンに財務を理解させる仕組み」を作る

① 営業向けに「利益率」の勉強会を実施

営業マンが利益率を理解すれば、値引きのリスクを認識できます。

「決算書の基本」「粗利の計算方法」などを学ぶ機会を設けると、適正価格での販売意識が高まります。

② 「値引きが会社に与える影響」を見せる

売上と利益率の関係をシミュレーションし、値引きによる利益減少を数字で示す ことで、営業マンの意識が変わります。

視覚的なデータ活用が効果的です。

③ 営業の評価基準を「売上」ではなく「利益貢献」に変える

「値引きを抑えた売上」を評価する制度にすると、営業マンの行動が変わります。

利益率を重視する評価制度を導入し、適正価格販売を促進しましょう。

財務データを営業の武器にする

① 「この価格で売る理由」を営業が説明できるようにする

営業マンが価格の根拠を説明できれば、値引き交渉を減らせます。

コスト構造や市場価値を営業に共有し、価格説明のロールプレイングを行う ことで、説得力のある営業を可能にします。

② 財務データを「見える化」し、営業会議で共有する

営業会議では、売上だけでなく、利益率・粗利・値引きの影響などのデータを共有 しましょう。

営業マンが財務の視点を持つことで、適正価格で販売する意識が定着します。

営業マンのマインドセットを変える

① 値引きせずに売ることを成功体験させる

営業マンが「値引きなしでも売れる」成功体験を積むと、自信がつきます。

少額の商品やサービスで試し、成功事例を社内で共有する ことで、他の営業マンにも良い影響を与えられます。

② 価格ではなく「価値」で交渉するトレーニングを行う

値引きに頼らずに売るためには、「価格交渉ではなく、価値提案を行う」スキルを磨くこと が重要です。

営業マン向けにロールプレイングを実施し、価値を伝える力を鍛えましょう。

まとめ:値引きに頼らない営業組織を作るために

営業マンが値引きをしてしまう理由は、財務の知識不足・価格交渉力の欠如・組織の評価制度の影響 などが関係しています。

これらの課題を解決するために、経営者ができる施策は以下の3つです。

  1. 営業マンに財務を理解させる仕組みを作る
    - 利益率や値引きの影響を学ぶ勉強会を実施
    - 営業の評価基準を「売上」ではなく「利益貢献」に変更
  2. 財務データを営業の武器にする
    - 価格の根拠を論理的に説明できるように指導
    - 売上 vs. 利益率のデータを営業会議で共有
  3. 営業マンのマインドセットを変える
    - 値引きなしで売る成功体験を積ませる
    - 価格ではなく「価値」で交渉するトレーニングを実施

財務リテラシーを高めることで、値引きに頼らず、適正価格で販売できる営業組織を構築できます。

まとめ:営業マンの財務理解が値引きを防ぐ鍵

営業マンが値引きをしてしまう最大の理由は、財務データを理解していないこと にあります。

売上と利益の関係を知らないため、安易に値引きをしてしまい、その結果、会社の利益が圧迫されるのです。

しかし、営業マンが財務を学び、値引きが利益に与える影響を理解すれば、価格交渉の意識が変わります。

適正価格での販売が可能になり、最終的には値上げしても売れる営業マンへと成長できます。

この仕組みを実現するために、経営者は以下の施策を講じるべきです。

  • 財務データを可視化し、営業マンに共有する
  • 営業の評価基準を「売上」から「利益貢献」に見直す

営業マンの財務リテラシーを高めることで、値引きに頼らない強い営業組織を構築できます。

投稿者プロフィール

山下午壱
山下午壱エグゼクティブコーチ/経営コンサルタント
1968年生まれ。兵庫県出身。
玩具業界(商社)、映画業界を経て人材サービス業界で20年働く。
代表取締役として年商10億円台の人材サービス会社を70億円台まで成長させる。
経営の傍らで多くの経営者と交流し、中小企業の社長の立場でコーチング、コンサルティング実績を積む。
現在はエグゼクティブコーチ/経営コンサルタントとして活動中。