働き方改革とは残業を減らすことではない

働き方改革とは残業を減らすことではない

新型コロナウィルスの感染拡大以前から「働き方改革」が叫ばれ、企業にとって必要な変革とされていました。

しかし、本当の働き方改革とは、残業の削減だけでなく、生産性の向上と効率的な仕事の進め方を見つけることです。

本記事では、労働者の平均実労働時間の推移を振り返り、働き方改革の本質に迫ります。

労働者1人平均年間総実労働時間数の推移

過去数十年にわたり、労働者1人の年間実労働時間は変遷してきました。

その推移を振り返りつつ、働き方改革の必要性がいかに浮き彫りになっているのかを考察します。

働き方改革とは残業を減らすことではない

(引用:独立行政法人労働政策研究・研修機構「常用労働者1人平均年間総実労働時間数(1970年~2022年)」のデータを元に筆者が作成)

1970年には常用雇用者の平均総労働時間/年は、2,239時間にもなっています。

しかし、働き方改革が叫ばれる以前の2015年には常用雇用者の平均総労働時間/年は、1,784時間にまで減少しています。

この45年間の間に総労働時間は20%以上減少していることがグラフから読み取ることができます。

この間の総労働時間の減少の原因は様々ありますが、結果的には働き方改革を叫ばずとも、日本人の労働時間は大幅に減少しています。

よって、働き方改革=労働時間の減少自体が目的ではないことがデータからも明らかであることは間違いありません。

また、働き方改革が叫ばれるようになった2020年頃から総労働時間が逆に増えています。

これはコロナ禍による経済活動の減少、人的流動性の停滞などイレギュラーな要素が含まれているとは言え、働き方改革とは逆行していることもデータから読み取ることができます。

働き方改革とは、そもそも何を意味するのか?

働き方改革は、労働者や企業が働くスタイルや環境を変革し、柔軟性や生産性を向上させるための取り組みや政策を指します。

これは、伝統的な働き方に挑戦し、働く人々がより満足度の高い、バランスの取れた生活を送ることができるようにすることを目指しています。

具体的な要素としては以下が挙げられます。

労働時間の柔軟化

:固定された労働時間から、柔軟で自己管理がしやすい労働時間への転換。

これには、フレックスタイムやテレワーク(在宅勤務)の導入が含まれます。

働き方の多様化

フルタイム労働だけでなく、パートタイム、フリーランス、プロジェクトベースの仕事など、異なる働き方の選択肢を提供。

働くスタイルの多様性を促進します。

技術の活用

ITやAIの導入により、業務プロセスの効率化や自動化を進め、業務にかかる時間や手間を減らす。

これにより、労働者はより質の高い仕事に注力できるようになります。

ストレス軽減

長時間の労働や過度なストレスを軽減するために、労働環境の改善やメンタルヘルスのサポートが含まれます。

組織文化の変革

労働者と企業のコミュニケーションの改善、意思決定の分散化、成果主義の導入など、組織文化に関する変革も一環とされています。

 

このように働き方改革は、従来の働き方において発生していた過労やワークライフバランスの不均衡などの課題に対処し、現代社会においてより持続可能な働き方を実現するための試みと言えます。

つまり、働き方改革は上記のような新しい働き方、柔軟な働き方、持続可能な働き方にパラダイムシフトすることで、少子高齢化の日本における生産性の向上、経済の活性化が目的になります。

上記の働き方改革の目的の中に残業が含まれていないのは、残業を減らすことが目的ではなく上記の目的を達成するための手段の1つである、ということです。

よって、働き方改革=残業を減らすことではありません。

働き方改革は生産性の向上が目的

働き方改革とは残業を減らすことではない

(引用元:公益財団法人日本生産本部「日本の労働生産性の動向 2023概 要」より

上段のグラフでは常用雇用者の平均労働時間は減少していますが、こちらの就業者1人当たりの労働生産性は多少の波はあるものの一定の生産性を確保していることが分かります。

つまり、働き方改革を叫ばずとも、これまでの日本企業は大企業を中心に生産性の向上に努めていることが分かります。

よって、生産性の向上は特に珍しいことではなくこれまでも日本の企業は取り組んでいると言えます。

しかし、働き方改革という言葉が独り歩きする形になり、一部の人達の中には働き方改革、生産性向上を間違った解釈をされている方もいらっしゃいます。

働き方改革=労働時間の減少=働か無くて良い、という解釈をされている若い世代の方が多いように感じます。

本質的な働き方改革の目標である生産性の向上とはある意味「今日できることは今日中にやる仕組み」という事ができます。

このアプローチは、単なる残業の削減だけでなく、効率的な業務進行と生産性の向上をもたらします。

ITやAIを駆使し、労働者が仕事に専念できる環境を整えることが重要です。

働き方改革は、過去の数字を振り返りながら、生産性向上という本質に焦点を当てるべきです。

単なる「働かない改革」ではなく、「今日できることは今日中にやる仕組み」を構築した会社が、真の意味で残り、発展する会社になります。

残業の是非にとらわれず、生産的な働き方をこれまで同様に進めることが重要です。

 

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