非上場のオーナー社長の事業継承問題は創業時から考えておくことが必要
私は40歳で中小企業の代表取締役となり約15年の社長生活を終えて、現在は独立して新しい道を進むことを選びました。
しかし、私の中では40歳の頃に思っていたような事業継承の道筋を描くことができたと考えています。
非上場の中小企業の事業継承は難しい
歌舞伎役者の子供は歌舞伎役者になることが当然である、という文化は今の日本にはもうありません。
確かに親が社長という仕事をしていれば、自然と会社経営というものに触れる機会は多いので、結果的には子供が親の会社を継ぐことは現在でもよくあることです。
しかし、昔ほどは子供が会社を継ぐことを素直に受け入れることができない時代になりました。
なぜなら、インターネットを中心として情報革命の結果、今の若い世代は情報の中で生活し、情報の中で判断する訓練を自然に行っています。
その結果、親の仕事以外にも自分自身に向いている仕事、やってみたいと思う仕事を早期に見つけることができ、かつそれを目指せる環境にあるからです。
つまり、歌舞伎役者の子供でも他の世界があることを子供の時から知ってしまうことができる、ということです。
子供が継がない場合の非上場の中小企業の事業継承
オーナー社長の子供が親の会社を継がないことが明確になったとき、オーナー社長の事業継承問題はある選択を迫られることになります。
1.上場(IPO)を目指す
仮に業績が好調な会社を経営されているのであれば、株式上場(IPO)を検討する方法があります。
非上場の中小企業の事業継承問題の1番のネックは非上場株式の価値です。
会社の業績が好調ということは、その会社の株の価値は高くなっているということです。
仮に、社長であるあなたが突然不慮の事故でお亡くなりになった場合、残された家族は非上場の会社の株の価値に基づく相続税を支払うことになりますが、多くの場合は残された家族に相続税を支払う現金はありません。
しかし、株式上場された会社の株は市場で売買が可能ですから、最悪の場合は株式を売却して相続税を支払うことが可能になります。
2.会社を売却する(M&A)
業績の好調、不調に関わらず社長のあなたがいつかは引退する時がやってきます。
そして、その時に誰が社長を引き受けるのか?
会社で働く従業員がいる限り社長の引退=会社を廃業するという選択肢を取ることはできません。
また、上段のように相続税の問題がここでも絡んできますので、要するに基本的に流動性が低い(現金化が難しい)非上場株式を現金化する(要するに会社を売却する)ことで、引退後の生活と相続税の問題を解消することが可能です。
実は、子供が会社を継がない場合の非上場の中小企業の事業継承の方法は実質的にこの2つしか方法がない、ということを知っておくことが重要です。
非上場の中小企業の事業継承には時間が必要
冒頭の説明の通り、私が40歳の時に代表取締役になった時点で考えていたことは2つです。
1つはこの会社をどのように成長させるのか?2つ目はこの会社をどのような形で事業継承するのか?でした。
なぜ、代表取締役に就任した当時から事業継承の問題を考えていたのか?というと、私はたまたま代表取締役という大役を引き受けることになりましたが、私は自分自身で経営者には向いていない、または中小企業の経営者から早く引退したい、と考えていたからです。
しかし、代表取締役になったからには会社を成長させることが仕事ですから前向きに取り組みつつも、出口戦略をどうするのか?は常に考えて仕事をしていました。
当初は、ある程度の実績を作って私はオーナーとして会社に携わり、経営者を外部からヘッドハンティングすることを考えていました。
しかし、非上場の中小企業で支配と経営を分離して統治することは難しいと分かった際に、上記の2つの選択肢の中から選択するしか方法がないと気づいたのです。
どちらの選択肢を選ぶにしても会社を成長させて価値を高めることが必要だと思いながら仕事をしていたら、結果的に15年が経過していた、ということです。
よって、非上場の中小企業の事業継承問題は、結論を出せるまでに一定の期間が必要です。
できれば、創業時や事業継承された時点で、社長であるあなた自身の事業継承の問題を考えておくことが重要なのです。
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