中小企業・ベンチャー企業の社長の経費はどこまで認められるのか?
中小企業・ベンチャー企業は基本的に非上場のオーナー会社がほとんどです。
よって、社長は個人のお金と会社のお金の区別が曖昧になる場合が多いです。
非上場のオーナー会社の社長の経費はどこまでが認められるのでしょうか?
非上場のオーナー社長の経費の判断基準は?
基本的には非上場のオーナー社長であっても上場企業の雇われ社長であっても会社の経費として認められるものは、会社の業績向上に寄与するための支出であることが前提です。
例えば、飲食の場合であれば取引先の方々を接待することは、会社の業績向上に寄与することになりますので、会社の経費として基本的には認められます。
仮に飲食の相手が取引先ではない、経営者仲間だった場合はどうでしょうか?
中小企業・ベンチャー企業の社長の仕事には情報収集、または経営課題解決のための助言を求めることで会社の業績向上に寄与することになる、ということであれば会社の経費として認められることになると考えます。
これは飲食に限らずゴルフなどで親睦を深めるという目的で取引先であっても、取引先ではない経営者仲間であっても同様の成果を得ることができるのであれば、会社の経費として認められると考えます。
飲食がOKでゴルフがNGということにはならずに、経費を使って得られるものが何なのか?によって会社の経費なのか?個人のポケットマネーなのかを判断する必要があります。
上場企業の社長でないのであれば、社長が使ったお金を経費にするのか?個人のポケットマネーとするのか?の判断は基本的に社長自身で決めるしか方法がないと言えるでしょう。
社長業のストレス発散のために使ったお金は経費になるのか?
「タムロン」前社長と元社長が1億6000万円余りを私的に流用か
先日のニュースで東証プライム上場の会社の社長が2代に渡って会社のお金を私的に使用していたのか?という話題がありました。
個人的には社長業にはストレスがセットになっていると思いますので、ある程度の部分に関しては仕方がない部分もあると思います。
しかし、その考えは非上場のオーナー会社の社長の考え方であって、上場企業の会社の社長では通用しないと考えます。
記事では私的な使い方として仕事に関係のない人を伴う旅行や飲食などに使われたとの記述がありますが、その額が数千万円、1億円というのはさすがに限度を超えているというか、上場企業の経営者としての意識が欠如していると思われます。
約10年間の間にこれだけの会社のお金を私的に使用したとなると、年間でも数百万円から1千万円も使用していることになり常識の範囲での経費の使い方からも逸脱していると言われても仕方がない金額です。
それが会社の業績向上に寄与しない使われ方をしていたのであれば、明らかに異常値として会社の誰かが気づくと思いますが、今回報告されている社長の方々はそんな判断もできない人、つまりは経営者としても社会人としても不適格な人材であると言わざるを得ないでしょう。
社長の経費の使い方を従業員は観察している
今回のニュースで取り上げられた事例が表沙汰になったのは、恐らく従業員からの内部告発などがキッカケになったと考えられます。
監査で発覚していれば10年間もこのような私的流用を継続できる訳はありませんし、監査が機能していればもっと早くこのような自体を防ぐことができたと考えます。
よって、何かをキッカケにして従業員または他の役員の誰かの内部告発から調査が開始され、事実が明らかになったことで会社として調査結果を一般に発表したという流れになると思われます。
これが金額は別にして中小企業・ベンチャー企業のオーナー社長が行っていた場合には、このようにニュースになることはありません。
しかし、確実に言えることは従業員は社長のお金の使い方を想像以上に観察している、ということを知っておくべきです。
経理担当の従業員だけではなく、他の従業員も社長の行動や言動を社長が思っている以上に敏感に察知します。
毎晩のように飲み歩くことが悪いことではありませんが、それが本当に会社の業績向上に寄与する行動なのか?を従業員はうすうす感じています。
うすうす感じていてもそれを口に出さないだけであり、行き過ぎた行動や言動を繰り返すことで従業員の心は会社や社長から離れていきます。
中小企業・ベンチャー企業の社長の経費の使い方の判断は、自分自身と従業員の視線で判断することが重要になるでしょう。
*この記事はあくまでも個人の見解です。税務に関しては税理士など専門家にご相談ください。
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