業績好調の会社の社長が毎日出勤しない理由

業績好調の会社の社長が毎日出勤しない理由

あなたの親しい社長の中には会社に毎日出勤していない社長がいると思います。

得てしてそのような社長が経営している会社の業績は好調であることに疑問を持ったことはありませんか?

経営者の中には日々の業務をマネジメントチームに委ね、自身は出社しないスタイルを採る企業が増えています。

このアプローチは、経営者がいなくても企業が順調に回るようにするための戦略の一環です。

社長が万が一自動車事故に遭遇し当面出勤できない状況になったという例に挙げながら、なぜ経営者が日常業務から離れるべきなのか、以下で詳しくお伝えします。

マネジメントチームの重要性

自動車事故など中小企業の社長が不慮の事故に巻き込まれる可能性は、いつ、どこで発生するかもしれない大きなリスクです。

その際、企業をリードする責務はマネジメントチームに移ります。

経営者の代わりに会社を運営できるよう、マネジメントチームを強化することが必要です。

中小企業の場合であれば、このマネジメントチームのメンバーは、役員、部長級のメンバーになると思われます。

通常業務においての役割分担は行われていても、非常時には誰が何を判断するのか?最終的な決定はどのように行うのか?を予め決めておくこと重要です。

そのような「もし」の事態を想定する訓練や習慣を付けることは、社長の後継者の育成や役員、部長級メンバーにおける一種の「経営シミュレーション」の機会を作ります。

よって、研修では得られない実践的な経験を積む機会を作ることは、マネジメントチームの能力向上に寄与します。

経営者の修練と勉強

経営者は企業の方針や方向づけ、リソースの最適配分、リーダーシップといった要素に対応する必要があります。

中小企業の社長の多くは、創業社長であり自身も手探りで経営者の要素を身につけるために実践を数多く経験してきました。

しかし、社長の後継者に該当するようなメンバーには、創業社長のような実践を経験する機会が多くはありません。

よって、そのために修練と勉強が必要です。

経営者はある程度の出社日数を制限し、他の日は積極的にお客さまとの交流や勉強に充てることで、経営者不在時にマネジメントチームまたは社長の後継者に該当する人物の「実践の機会」を意図的に作り出すことが必要です。

マネジメントチームの育成

会社が成長するためには、経営者に頼らずにマネジメントチームが執行に関する意思決定を行える体制を整える必要があります。

部下が育つためには、難しい判断を迫り、経営者のサポートを最小限に抑えるアプローチが重要です。

しかし、実際には毎日社長が会社に出勤することで、部下たちは自然と難しい判断を行うことを放棄し、社長に判断を仰ぐことが当たり前になります。

よって、意図的に社長が会社に出勤しないことで、社長不在でも最低限実務に支障がでない体制を作る必要があります。

このような機会を作り、マネジメントチームや後継者の育成機会を作り、部下を育てることも社長の重要な仕事のひとつになります。

BCP(Business Continuity Plan)と手元流動性

業績好調な会社であっても、BCPの一環として経営者は手元流動性を確保しておくべきです。

BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

(引用元:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」より)

BCPは自然災害だけではなく、中小企業のキーマンである社長が事故などで不在になった際に事業を継続させるためにも活用することができます。

例えば、月商の数カ月分の資金を確保することで、予測できない状況にも対応できる安定感が得られます。

多くの中小企業の資金繰りや銀行対応などは社長が行っている場合が多く、社長が長期不在になることは会社の資金的な面での大きな影響を及ぼすことが想定されます。

また、一定の手元資金を用意することで、想定外の自体が発生した場合にも時間的な余裕を生む出すことが可能になります。

つまり、「お金で時間を稼ぐ」ことが可能になります。

また、手元資金に余裕があれば日常的な経営においても資金の心配をすることがなく社長の心の安定剤になるという部分もあります。

これは「ダム経営」と呼ばれ、経営者にとって心の余裕を生む重要な要素です。

業績好調の会社の社長が毎日出勤しない理由

業績好調な企業の社長が毎日出勤しない理由は、出勤しないから会社の業績が好調になるのではありません。

社長がマネジメントチームや自身の後継者に経営者としての修練や勉強、育成、BCPという観点での「経営する機会」を提供し、その結果として組織として機能する体制を作ることができたからです。

出社しない日を有効活用し、経営者自身が企業の将来を見据えて行動する。

例えば自ら外部の研修やセミナーに参加する、得意先との情報交換や新規顧客獲得のための勉強会への参加をする。

このようにして持続可能な成功を収める行動を行っているからこそ、その結果として毎日出勤しなくても会社の業績が好調を維持し、今後も発展する体制を作ることが可能になります。

 

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