ビックモーターのような信賞必罰的な人事は本当にダメなのか?

ビックモーターのような信賞必罰的な人事は本当にダメなのか?
この記事を書いている段階では少しビックモーターの保険金水増し請求事件はマスコミでの話題も減りつつあります。このニュースの中で過剰なノルマや行き過ぎたとされる信賞必罰的な人事にも批判が集まっていましたが、信賞必罰的な人事は本当にダメなことなんでしょうか?

信賞必罰の人事は特に悪い訳では無い

会社の人事において、優秀な結果を出すことができた社員が昇格し、結果を出すことができなかった社員が降格することは、人事政策的には全く問題はありません。

会社は仕事する場所であり、仕事をすることで会社が目指す方向へ従業員が突き進んだ結果として会社に売上、利益が生み出され、それぞれの従業員の自己成長が促され、社会に納税という形で貢献することができます。

よって、その中で優秀な人材に成長できた従業員を昇格させることで、より責任のあるポジションを任せることは普通のことです。

またビックモーター前社長の兼重氏の言葉の中に抜擢人事という言葉がありましたが、これも中小企業・ベンチャー企業の中ではそもそも優秀な結果を出せる人材が少ない訳ですから、優秀な結果を出す可能性のある人材を登用することも全く問題はありません。

非上場企業とは言え、従業員5,000名以上、創業から50年近いビックモーターが中小企業・ベンチャー企業と同じで良いのか?という問題はありますが、ビックモーター前社長の兼重氏としては、1代でこの会社を作り上げてきた叩き上げの方ですので、ご自身の思考的には中小企業の社長のままでここまでこられたのかもしれません。

ビックモーターが行った間違った人事政策

TVや新聞報道などで見聞した情報だけで判断するのであれば、保険金水増し請求という事件を発生させた原因は、過剰なノルマもありますが正しい人事政策を行わなかったことが原因だと考えます。

問題視されている信賞必罰的な人事や抜擢人事には全く問題はありませんが、それを行うためのルールが整備されていないことが最大の原因だと考えます。

簡単に言えば、人事権を持つ人間の気分や感情で信賞必罰や抜擢という名の嘘の人事が行われていたことが問題であり、やはりこの企業規模の会社としてはガバナンスが欠如していることが問題と言えるでしょう。

従業員が数十名の会社の社長が気分で人事評価や査定を行う会社はまだまだ多いですが、従業員5,000名以上の会社で同じことをすれば、社長1人ではなく多くの評価者がそれぞれの気分、感情で人事を発令することになることで、企業統制は崩壊する、というある意味良い事例だと思われます。

人事政策において重要なポイントは評価の透明性

人事政策において重要なポイントは評価の透明性です。

社長や一部の人事権を持つ人間が気分や感情で評価するのではなく、社内に公表されている評価基準に基づいた評価、査定を行い、その評価、査定結果を論理的に人事権を持つ人間が部下に対して説明できる体制が必要です。

これが評価の透明性です。

従業員は与えられたミッションを達成させるために努力して仕事を行います。

与えられたミッションのゴール地点がどこなのか?を会社が示さなければ従業員はどこを目指せば会社から評価されるのかが分かりません。

例えるなら、ゴール地点を示されないままマラソンを行っている状態と同じです。

ペース配分がこれで良いのかどうか?どこでラストスパートをすれば良いのか?そもそも自分自身の順位は何番手なのか?を知らないで1位を目指してマラソンで走ることは不可能です。

よって、評価の透明性とは従業員一人ひとりに与えたミッションがどの様な内容なのか?そして、そのミッションのゴール地点はどこなのか?を会社または上司と部下で合意する所がスタート地点です。

そうすることで、できました、できませんでした、という評価ができ、かつどこが悪かったのか?次はどこを正せばよいのか?という正しい評価を会社全体で同じルールに基づいて行うことが可能になります。

ビックモーターの前社長の兼重氏が、もう少し早く中小企業の社長という価値観から大企業の社長の価値観に頭を切り替えることができていたら、または価値観を変えるように進言できる優秀な幹部がいれば、今回のような事件は発生しなかったのではないでしょうか?

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投稿者プロフィール

山下午壱
山下午壱エグゼクティブコーチ/経営コンサルタント
1968年生まれ。兵庫県出身。
玩具業界(商社)、映画業界を経て人材サービス業界で20年働く。
中堅規模の人材サービス会社の経営の傍らで多くの経営者と交流し、中小企業の社長の立場でコーチング、コンサルティング実績を積む。現在はエグゼクティブコーチ+経営コンサルタントを組み合わせた独自の手法で活動中。