なぜ営業マンはインセンティブを増やしても効果がないのか?

なぜ営業マンはインセンティブを増やしても効果がないのか?

営業マンにインセンティブを与えることは、成果向上のための定石とされています。

成果報酬制度は、目標達成に向けて営業マンの努力を引き出すと信じられている一方、期待通りの効果が出ないケースも見られます。

この問題には、インセンティブの「習慣化」が絡んでいる可能性があります。

インセンティブが効果を発揮しない理由を掘り下げ、営業職のモチベーション向上について考察します。

この記事のポイント

1. インセンティブの限界
営業インセンティブは効果的に見えるが、行動が慣習化するとモチベーション維持が難しい

2. 内発的モチベーションの重要性
長期的な成果には、営業マンが内面的にやる気を持てる環境が重要

3. 効果的なインセンティブ戦略
金銭報酬と非金銭的報酬のバランスを見直し、個々の成長やチームビルディングが成果向上に繋がる

 

営業インセンティブと行動経済学の関係

インセンティブ効果を理解するためには、行動経済学の知見が有効です。

行動経済学では、インセンティブのような外部から与えられる報酬を「外発的モチベーション」と定義します。

これに対し、報酬を期待せずに行動する際の内なる意欲は「内発的モチベーション」と呼ばれます。

これらのモチベーションがどう相互作用するかによって、報酬の効果は変わります。

たとえば、イタリアの経済学者ウリ・ニーズィーとアルド・ルスティキーニは、保育園の実験で、罰金制度の効果が必ずしも行動改善につながらないことを示しました。

この実験の結果から、営業インセンティブの意外な弊害が浮き彫りになります。

インセンティブが効果を発揮しない理由

ニーズィーとルスティキーニの実験では、遅れて子どもを迎えに来る親に罰金を科すことにしました。

しかし、罰金導入後に遅刻する親の数は増加し、罰金を廃止しても戻らないままでした。

この現象の理由は、罰金が「遅刻しても支払えば良い」という心理を引き起こしたためです。

親たちは罰金を「遅刻料」と認識し、罪悪感が軽減されることで「遅れても構わない」と考えるようになりました。

インセンティブや罰金が行動の自由を確保するものとして捉えられると、内発的モチベーションが弱まり、結果として行動改善には至りません。

営業マンの内発的モチベーションを高める方法

インセンティブは一時的に成果を促進するものの、内発的モチベーションが高い営業マンは長期的に優れたパフォーマンスを発揮します。

営業マンが自らの目標を持ち、成長を実感することで仕事への熱意が高まるため、モチベーションの維持に繋がります。

特に上司のフィードバックや承認が重要で、営業成績以上に仕事への満足度を向上させる要因となります。

中小・ベンチャー企業での実践例:インセンティブとモチベーションのバランス

特に中小企業やベンチャー企業では、限られたリソースの中で営業インセンティブ制度を効果的に運用することが課題です。

インセンティブの増額に頼るだけでなく、キャリアの成長機会や挑戦の機会を提供することで、営業マンの内発的モチベーションを引き出すことが重要です。

たとえば、キャリア成長を支援する制度や、スキルアップの機会を提供することが効果的です。

インセンティブ制度の見直し方法

営業インセンティブ制度の効果を最大化するには、定期的な見直しが必要です。

具体的には、金銭的インセンティブと非金銭的インセンティブ(フレキシブルな勤務体制、休暇制度など)をバランス良く導入することで、インセンティブの効果を維持できます。

また、従業員からのフィードバックを反映させた制度を設計することが有効です。

営業職以外の従業員のモチベーション向上策

営業職以外の従業員のモチベーションを維持するためには、感謝や承認、チームビルディングの機会が欠かせません。

日々の努力や成果を認め、会社全体の文化として共有することで、全従業員の内発的モチベーションが向上します。

インセンティブのみに頼らず、エンゲージメントの向上を図ることが重要です。

インセンティブとモチベーションの共存がもたらす効果

インセンティブだけでは必ずしも売上に直結せず、内発的モチベーションを損なうリスクもあります。

行動経済学の知見を応用し、外発的モチベーションと内発的モチベーションのバランスを取ることで、営業マンが自らの意欲を維持しながら成果を上げることが期待できます。

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